精神疾患について障害年金が認められる基準

文責:所長 弁護士 秋葉俊孝

最終更新日:2025年05月08日

1 精神疾患の障害年金認定基準

 日本年金機構のサイト上で認定基準は公開されており、精神の障害については以下の6つに区分されています。

 ①統合失調症統合失調症型障害及び妄想性障害

 ②気分(感情)障害

 ③症状性を含む器質性精神障害

 ④てんかん

 ⑤知的障害

 ⑥発達障害

 精神の障害については、発達障害、知的障害等が複合的にかかわる場合もありますが、こちらのページでは、通常先天的なものである知的障害、発達障害、他と比較して症状等がやや特殊なてんかん、交通外傷等に起因して生じる器質性精神障害を除く、上記のうち①、②についてご説明します。

2 統合失調症等、気分障害の認定基準

⑴ 統合失調症等の認定基準

 統合失調症等の認定基準は、まとめると以下のようになります。

 1級:高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの

 2級:残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、 日常生活が著しい制限を受けるもの

 3級:残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの

 

⑵ 気分障害の認定基準

 気分障害についてまとめたものは以下のとおりです。

 1級:高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの

 2級:気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

 3級:気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

 上記をそれぞれ見比べてみると、ある程度症状についての記載があるものの、語尾は同じで、1級が「常時の援助が必要なもの」、2級が「日常生活が著しい制限を受けるもの」、3級が「労働が制限を受けるもの」となっています。

 とはいえ、客観的に見ても、これだけで基準がはっきりとわかるものではないと思います。

3 ガイドライン

 上記2のとおり、精神疾患についての認定基準は、文言上、かなりあいまいなものといえます。

 その結果、過去、障害基礎年金の審査が都道府県ごとに行なわれていた際には、都道府県間で認定結果に地域差等が生じてしまっていたようです。

 そのため、平成28年9月以降は精神疾患の認定については、等級認定の指針となるガイドラインが示され、ガイドラインを踏まえた審査が行わるようになっています。

 参考リンク:日本年金機構・『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等

 特に分かりやすいところは、「障害等級の目安」です。

 精神疾患の認定はあくまで総合判断ではありますが、医師が診断書に記載した「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の診断結果を数値化し、目安となる等級が定められ、さらに表のかたちで示されています。

 そのため、従前よりも、審査結果の妥当性や、審査請求を行うべきか否か等の判断はしやすくなったかと思います。

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